体験談:野口さんの場合
【お名前】野口 晃一郎 さん
【罹患時の年齢(年代)】41歳
【居住地区】岐阜県
【診断時期】2016年12月
【診断時のステージ】2a
【サブタイプ】ルミナールタイプA
【遺伝子検査の有無】なし
【初期症状】
最初に症状が気になり出したのは2016年の夏ごろ。左の乳首が凹んでいることを自分自身で気づき、妻もお風呂場で気づきました。その後、胸にしこりがあり、乳首に痛みもあるため、病気を疑うようになりました。
【手術方法】
乳腺悪性腫瘍手術(乳房除術、リンパを含む、胸筋切除を併施しない)
【術後補助療法】
ホルモン療法(タモキシフェン20mgを1日1錠)
【乳がんと診断された際どう思いましたか?】
日本では、2人に1人ががんになるといわれていますが、「自分もなるんだあ」という気持ちでした。
【家族(パートナー)の反応】
妻は最初、驚きを隠せませんでした。父親と妹は冷静に受け止めていました。老人ホーム施設に入所している母親と95歳の祖母には告げていません。妻は自分の父親をがんで亡くしているため、複雑な思いがあったと思います。父親に続いて、自分のパートナーもがんで命を落としてしまうのではないかという不安とショックがあったと察します。その後、がんにならないカラダづくりの方法をいろいろ調べるなど、がんと実直に向き合い、一緒に歩もうとしてくれました。手術当日は、センチネルリンパへの転移が認められ、リンパ郭清を行ったため、予定より1時間半ほど手術が長引き、かなり心配していたと聞いています。手術室から出て、顔を見た時に、目に涙を浮かべながら安堵していた表情を今でも覚えています。
【職場の同僚や身近な人の反応】
40歳代で発症したということと、男性乳がんという珍しい病名に、驚きと動揺が大きかったように感じます。手術前日、同世代の友人が舌がんであることをFacebookで告知したのを知り、乳がんについても知ってもらい、自分自身の健康を見つめ直す機会にしてほしいと思うようになりました。そこで、私も同様にFacebookで友人らに知らせることにしました。励ましのメールや「いいね!」をたくさんもらい、勇気をもらいました。
【手術まで】
仕事の関係で、乳がんに関する特集やピンクリボンの座談会を取材してきたため、乳がんに関する知識もあり、左胸のしこりや痛みを感じた時に不安を覚えていました。そして、2016年12月、取材した先生の病院で検査を受け、触診、エコー、マンモグラフィーを行いましたが、マンモグラフィーの映像を見た瞬間に、乳がんであることを確信しました。「まさか」というよりは、「やっぱりか」という気持ちでした。生検で乳がんであることが決定的になりましたが、心配だったのは、リンパを通じて他の部位への転移でした。PET検査で転移がなかったと聞いた時は、さすがに安心しました。同時に、「これから根治に向けてしっかり治療しよう」という気持ちが強くなりました。結果が出た2017年1月の段階では、ステージ1という診断でしたが、手術前の検査でセンチネルリンパまでがん細胞が到達していることが判明し、ステージ2aとなりました。それでも、医療スタッフを信頼して手術に臨みました。
【現在とこれから】
私は、新聞特集などのライターとして、乳がんの取材を通じて、自分の乳がんを見つけ、助かることができました。早期に見つかったこと、どの診療科を訪れていいか知っていたこと、優秀な医療スタッフにも恵まれ、とても幸運でした。特に取材者でもある主治医はとても前向きな人で、診断の時から「大丈夫」と声をかけ、手術当日の朝には「頑張りましょう」と背中を押してくれて、手術が終わった時には、「大成功でしたよ」という第一声で目が覚めました。常に病気を恐れず、立ち向かう勇気を与えてくれました。いい先生に恵まれ、絶対的な信頼を寄せることができました。手術が無事成功し、男性乳がんが起こりうる現実を多くの人に伝えていく役目があることを感じています。
【病気を診断されたことはあなたの人生にどのような変化をもたらしましたか?】
人間には「死」があることを自らの身体を通して痛感したこと。そして、また生活ができるようになり、「生かされている」と感じるようになりました。見える景色も変わり、自然に目を向けるようになり、より優しく接するようにもなりました。物事の感じ方、捉え方、人生観が変わったと思います。何が本当に大切なのかを冷静に感じるようになりました。
【男性乳がんと診断されたばかりの仲間へメッセージ…】
「がん」と聞いて、動揺するのは誰でも同じだと思います。「なぜなってしまったのか」と考えがちですが、深く考えないことが大切だと思います。まずは、自分の病状をしっかり認識し、治療方法などを決めて、今後の人生をどう過ごしていくかを考えていくことが大切だと思います。患者数は稀少ですが、同じような体験をした仲間がいます。決して一人ではないので、気楽に声を掛けてほしいと思います。
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