体験談:町田さんの場合

【お名前】町田 亮二 さん

【居住地】埼玉県

【罹患時の年齢】59才5カ月(罹患時は会社員、営業部に所属)

【男性乳がんと診断されるまでの経緯】

数年前から極度の不眠症にかかり、また逆流性食道炎にも悩まされていました。内科や心療内科にて処方してくれた薬の中に「女性化乳房症状」が副作用にかかれてあり、2年ほど飲み続けたころに自分にもその症状が現れてきました。すぐ薬を止めました。しばらくして、左乳輪の少し上に2~3㎝くらいの固いしこりがでてきました。痛みはなかったのですが近くの内科クリニックでみていただいたところ、これは大きな病院の乳腺外科で一度検査してもらったほうがよい。と強い口調でいわれたため、紹介状を書いてもらい乳腺外科で検査してもらいました。マンモグラフィー、エコー、レントゲン、生検など女性と同じ検査です。1週間後に検査結果がでまして、悪性腫瘍(乳がん)ですと診断されました。しかもステージ3bと進行しているガンでした。生検のときにある程度覚悟していたのですがステージを聞き「えっ??」と驚きましたことを今でも覚えています。それからのことは下記の通りです。

【診断時期】2012年11月(59才5か月)

【診断時のステージ】3b(主治医には男性の場合、胸壁にすでにガンがはりついているためステージは上がります!と言われました)ガン自身は2㎝ほどになっていたそうです。

【サブタイプ】ルミナルA(受容体:陽性、HER2;陰性)、浸潤がん

【入院時期と治療内容】

2012年12月、乳腺外科にて左乳房切除、左脇のリンパ節切除(リンパ節への転移は1個)

【その後の治療と経過】2013年1月に二週間ほど入院して一回目の抗がん剤、AC療法(アドリアシン、シクロホスファミド、吐き気とめなど)を点滴して副作用や状態をチェック、なぜか「しゃっくり」が出始めて10日間全く止まらなくなりました。主治医も心配してくれて点滴などで早く眠れるようにしてくれました。「しゃっくり」はその後、退院しても3カ月間続き、だんだん頻度も少なくなってやがてまったくでなくなりました。入院中は病院食がまったく食べられないほど口が苦くなり。菓子パンや差し入れなどで何とか持たしました。吐き気はなく、入院中はそれ以外の副作用はおきませんでした。

【術後、退院後の治療と経過】

2013年1月に2週間で退院したあとは、通院での抗がん剤治療が始まりました。

【化学療法(抗がん剤)】

2013年1月~7月

●AC療法:アドリアシン、シクロホスファミド、吐き気止め)=3週1回×4回(診察と点滴で3時間ほど)

●パクリタキセル、他=1週間に1回×12回(3時間ほど),

合計16回すべて通院で点滴。

約7カ月間、抗がん剤を受け続ける。その間は、会社は休職にしてもらいました。

【放射線治療】

2013年8月~9月

抗がん剤が終えたあとすぐに、放射線治療が始まる。2013年8月~9月まで、平日毎日(週5日)×25日間、照射時間は1回5分~10分ほどです。

期間は約40日間程度となります。この間は皮膚が少し赤くなり、日焼けしたように患部が熱くなるが我慢はできる程度です。

【ホルモン療法】

2013年11月~2019年、現在継続中。

放射線治療が終わるとすぐにホルモン療法(タモキシフェン10mg.×1日2回を5年間)が始まりました。その後、5年後に主治医からタモキシフェンの10年生存結果で良い数字がエビデンスとして発表されたので10年間飲みましょう!といわれました。実はあとで記しますが、身体にかかる副作用がかなりでてきて、非常に苦しい時期だったので、5年間で終わるものと期待していました。フェマーラに変えることもできましたが、骨密度が平均同年齢の男性にくらべて80%と低めだったので、指の関節が「ぎしぎししますよ」、と言われましたので、だったら新しい副作用をかかえるより、このままタモキシフェンを10年間飲み続けます。と答えました。

【ホルモン療法中での現在の副作用と自分なりの対症療法】

2019年、継続中です。

実はこの副作用がありとあらゆるものがでてきて、今現在もかなり苦しんでいます。

副作用の内容として

●悪心=いつも気持ちが悪く気分がすぐれない。これは抗がん剤を終えたら治りました。

●脱毛=抗がん剤4回目あたりに髪の毛、眉毛、まつげ、鼻毛ほか全身の毛がほとんど抜ける。これは抗がん剤を終えて半年後にすっかり生えそろいました。

●口が苦い、食欲がない。=これも抗がん剤を終えると治りました。

●両手足の指先の強烈な「しびれ」=術後7年目にはいりますが特に左足のしびれはより強烈になってきています。深夜にも続き就寝時は夜中の2~3時になります。パクリタキセルの後遺症としては強すぎるので現在、整形外科で診察中です。対症療法はリリカや神経に作用する薬を処方されて、いろいろ飲んでいますが、効果はありません。現在、最大の私の副作用の悩みです!!

●口内炎=これは抗がん剤の最中からずーっと続いています。対症療法として、ビタミンB2(フラビタン)を20mg、ビタミンB6(リポビックスなど)20mgを×朝、夕の2回。これはかなり効果があったので今でも続けています。現在は朝1回のみです。口内炎はかなり収まりました。

●両手足の指先の冷え=夏場以外は指先が氷のように冷たくなる。この対症療法としては常にカイロを持ち歩き、手袋をする仕事中なので手袋にカイロをいれておきます。お湯で指先をことあるごとに温めます。靴下は2枚履き、就寝時にも靴下をはいています。夏以外は布団に湯たんぽをいれておきます。手袋も外出用、自宅用、就寝用、職場用と使い分けています。この指先の強烈な冷えは現在も続いています。

●ホットフラッシュ(女性の更年期障害と似ている)=身体は冷えているのにちょっと動くと猛烈に汗をかく。外気の気温に体温を合わせることがうまくできない。特に顔や上半身が顕著。対症療法としては職場にも下着を3枚持っていき何回も着替える。また顔などの皮膚の乾燥などもあり、対症療法として顔吹きタオルを濡らして保冷剤で冷やしながら、常に持ち歩いています。自宅でも置いてあります。このホットフラッシュ現象はホルモン療法中はずーと続くとおもうので上記の対症療法は有効です。

【家族の反応】

妻は病気の名前を聞いて当初驚きましたが、自分も乳がん経験者なのでいろいろアドバイスをしてくれています。結婚した息子夫婦も私の生活や活動を応援してくれています。

【初めて、罹患した方へのメッセージ】

今回、私の体験談を読んでいただき、ありがとうございました。私が皆様へのメッセージとして申し上げたいことは、副作用はひとりひとり独自の形で身体に襲ってくるということです。あまり感じない人もいます。元来、女性患者のために開発された薬なので、ホルモンバランスの違う男性患者への治験や医学的立証(エビデンス)などは世界にもないようで、ならば自分自身で対症療法を工夫して乗り切っていこうと考え、この私の体験談が皆様方の副作用の悩みに少しでも参考になればと思い掲載していただきました。もし副作用で苦しんでいる方は是非、CNJ事務局を通して、ご連絡いただければと思います。一緒に情報共有しながら対症療法を考えていきませんか。

【あとがき】

私はメンズBCの会に1回目から参加しています。信じられないような!!(思わぬ)病気になり、ネットで情報などを検索していたところほとんど情報がありませんでした。術後4年後の2017年秋のことです。通院先の診察ファイルにCNJさんの「男性乳がんの会」の集まりのお知らせチラシがはいっていました。1回目の集まりが翌2018年1月にあるときき、参加させてもらいました。当初、同病の患者さんの参加は私も含め3人が集まりました。2時間ほどいろいろ罹患までのいきさつや初期症状、治療状況、現在の副作用などの情報をお互いに共有して、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。また先生から現状の男性乳がんへの認知がまだ少ないこと、発見がおくれがちで進行しやすいことなど貴重な情報をいただきました。こういう集まりを企画いただいたCNJ事務局には心より感謝しております。またアドバイスいただいた先生方、現在中心になっていろいろご指導いただいております、沢田晃暢(てるまさ)先生にはご多忙の中、海外文献や研究資料なども見せていただき、いつも我々にもわかりやすくご講義いただき本当にありがとうございます。あらためまして御礼申しあげます。